こんばんは、奪衣婆です。
今夜は、「吊るしXII」のマルセイユ版、ウェイト版、マルセイユ カモワン版の解釈とキーワードや仏教との関連をウィキペディアと愛読書からまとめました。
ひとつの意味に多くの表現がありますが、すべてをあてはめるのではなく、その時々で、心にとまったキーワードを、ご自分の中にある答えを探すための手がかりにするといいかもしれません。
「吊るし XII」の象徴と解釈
イタリアの古いタロットカードの中には、この逆さ吊りの人物に金の入った袋を持たせ「反逆者」というタイトルをつけるものもある。即ち「ユダ」である。
「恋人VI」との関連
マルセイユ版の構図に注目すると「恋人VI」のカードと同じ構図が確認できる。
象徴的に樹木は母性であり、この2枚ともが「2本の(2人の)樹木(女性)に挟まれた身動きの取れなくなっている男」を表している。
樹木の切り口
また両側に伸びる樹木は枝を切り揃えられており、切り口は1本につき6つ、合わせて「12」となる。
樹木の下に地面(らしきもの)が見られ、吊られている男の頭部は谷のような(深さが不明な為、掘られた穴とも、樹木と土自体が地面より高い位置にあるとする説もある)場所で両側の地面(のような部分)より低い位置に描かれている。
「XXI 世界」と対比
こうした危機的状況にもかかわらず、男の表情は素直にこの状況を受け入れているかのように凛としたものであり、この男自身が望んでこの状況を招き入れたことを暗示している。
つまりこの絵に描かれているのは単純な辱めの為の刑罰ではなく、通過儀礼の儀式であろうことが窺える。
組んだ足の形はカバラにおいて物質世界を表す「4」、同じく手は精神世界を表す「3」になっており、現状は「物質が精神の上に置かれた状態」を表し、精神が物質を越えた「XXI 世界」と対比される。
また、このカードを逆さま(いわゆる逆位置の構図)に置き換えて眺めてみると、追い詰められた状況にいた男の姿が一転してほんのり笑みを浮かべた表情へと変わり、その姿は片足で超絶的なバランスをとりながらダンスを踊っているように見える。
このことから、男はやがて通過儀礼の儀式を終え更なる高みへと進むであろうことが暗示されており、この絵の状況が決して避けて通ることのできないものであることを示す1つの要因となっている。
ウェイト版
ウェイト版タロットでは描かれている人物は北欧神話の最高神・オーディンをモチーフにしている。オーディンはルーン文字の解読方法を知るために世界樹・ユグドラシルの枝から9日間にわたり首を吊り続けたが、縄が切れて一命を取り留めたと神話では伝えられている。
実質吊された場所は処刑場ではなく、生命の息吹を感じさせる物として芽吹いているタウ十字に模された木々のため、吊された人物自身も何らかの希望を持っており、それを見出すために瞑想していると解釈する人もいる。
ウェイト博士曰く、足の形は「4」ではなく「卍」を形作っており、ここには神と人間の世界についての関係が示されているとのことである。
また、人物の頭の後ろに光るものは「光輪」であり、吊されている人物の光輪が、その吊るしている木々の芽吹きを促進させているほどの行為を成し遂げ、それを悟ったことが表し示されていると言われる。
この光輪は、「14 節制」の天使の頭の後ろにも描かれていて、「13 死神」を挟んだ前後の札2枚の光輪は、生死の狭間を体験するものには既に栄誉を与えられている可能性があると信じられている。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
カモワン版
若い男が逆さに吊るされているが、ロープはしっかり縛られてはおらず、眼はぱちりと開き、微笑んでいるようにも見える。
彼は絞首台に吊るされているのではなく、 空中浮遊しながら【瞑想】をしており、手も縛られているのではなく、後ろに何か隠しているだけかもしれない。
上着のボタンは10個で、これはカバラの「生命の木」の10個のセフィロトを示唆している。
彼は宇宙全体を見ていて、普通とは違った観点から観察して、異なった状態から冷静に現実を見据えることを示している。
「吊るし XII」の視点
「今はどうすることもできない状態なのだ、ということに気づくしかない」
両手を後ろに組まれ、片足をロープに縛り付けられ、宙吊りにされている人物。
この「吊るしXII」のカードには、まさに手も足も出ない状況に置かれている人物が描かれている。
・・・応えたいという気持ちはあっても現実には不可能。
そんな状況のとき、人は罪の意識に縛り付けられたまま、手も足も出ない状況から抜け出せなくなる。
「どうすることもできない状態に置かれてしまう」
(引用:リーディング・ザ・タロット -大アルカナの実践とマルセイユ・タロットのイコノグラフィ)
「吊るし XII」の連繋カード
皇帝IIII・・・4の字に組んだ足
悪魔XV・・・後ろ手の何かを隠している
世界XX・・・4の字に組んだ足 横道十二宮の輪
「吊るし XII」のキーワード
不動 停止 停滞 引退 観察 別な観点 忍従 瞑想 宇宙意識
正向き
- 停滞するが辛くない
- 待機
- 内省
- 別の観点から観察
- 「力XI」をコントロールするために瞑想をする
- 横道12宮(12の枝の切り口)のエネルギーから切り離される
- 束縛という忍従 しかし、束縛を手放すこともできる
- 世界を逆さまに見る
- 修行
- 忍耐
- 奉仕
- 努力
- 試練
- 着実
- 抑制
- 妥協
逆向き
- 状況を受け容れない
- 動かない
- ひきこもり
- 中途半端
- 決断しない
- 頑固
- こだわり
- 物質世界にとらわれる
- 怠惰
- マゾヒスト
- 徒労
- 痩せ我慢
- 投げやり
- 自暴自棄
- 欲望に負ける
人間関係
正向き
- 今、起こっていることを観察
- 行動を控える
- ひきこもり
- 試練
- 忍耐
- 犠牲
- 相手に尽くす
- 引退
逆向き
- 中途半端
- 決断しない
- 問題が片づかない
- 無駄な努力
- 裏切り
恋愛と結婚
正向き
- 献身的な恋人
- 忍耐強い
- 犠牲的精神
- 別の観点から観察せよ
- 行動控えよ
逆向き
- 恋の停滞
- 宙ぶらりんな気持ち
- 気迷い
- 後悔
金銭問題
正向き
- よく観察して分析
- 別な見方をする
- 景気停滞
- 忍の一文字
- 犠牲的精神
- ボランティア活動
- 事業計画を練る
逆向き
- 事業の停滞
- 不況
- スランプ
- 持ちこたえられない
- 犠牲になる
- 悪あがき
ビジネス
正向き
- 買掛け
- 未決案件
- 業績停滞
- 秘密兵器
- 新規事業の構想
- 忍耐のとき
- 福祉事業
逆向き
- ストライキ
- 休業
- 八方ふさがり
- 何かを隠している
- 無駄な努力
仕事捜し
正向き
- 動くな
- 別な観点からよく考えよ
- 閉じこもり
- 失業中
- フリーター
- ヨーガ
- 瞑想家
逆向き
- 中途半端
- 定職なし
- 骨折り損
- 人の犠牲になっている
- 忍耐不足
仏 伊 英 表記
フランス語 Le Pendu ル・パンデュ
イタリア語 L’Appeso ラッペーソ
英語 The Hanged Man
いかがでしたか。
キーワードは重要な手がかりですが、そればかり考えてしまうと何事も関連付けたくなり、本当の答えを探せなくなるので、くれぐれも、キーワードの海に溺れないでくださいね!
無数の賢人たちが残してくれた言葉が、世の中にはまだまだたくさんありますので、随時更新していきます。
タロットカードを使って誰でもできる「心トレ」方法!自分を鍛えて不安を解消しよう!
当ブログの「心のトレーニング」で キーワードの活用方法をご紹介しています。
「冥界タロット」 生年月日別にガリガリ亡者を紹介しています 当ブログを運営している奪衣婆のYouTubeチャンネル「もしもあなたに異なる人格があるとしたらこんな人かもしれません」 https://www.youtube.com/@奪衣婆Meikai-Tarot
引用:おすすめ教材「リーディング・ザ・タロット -大アルカナの実践とマルセイユ・タロットのイコノグラフィー」2009/1/24 伊泉 龍一 (著), ジューン 澁澤 (著) マルセイユ・タロットのリーディング方法やカードそれぞれの詳細が学べます。「大アルカナのパースペクティブ」はものの見え方を養ってくれます。